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音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」11日マチネ公演を見て

音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」、2019年8月11日 13時公演を観劇しました。

ジャン・バルジャン役は伊東健人さん、ジャベール警視は神尾晋一郎さん、コゼットやガブローシュを演じたのは青山吉能さん、マリウスを演じていたのは駒田航さんでした。

 

レ・ミゼラブル」は原作をきちんと読んでいないため、映画のみの印象で向かったのですが、映画の記憶(とは言え見たのは中学生くらいのはずなのであまり当てにはならない)とは随分印象が違っていて、あちこちそうだったのか!となっていました。

例えばマリウス。君そんな複雑な家庭事情を抱えていたんだ!?とか。

 

全編の流れを踏まえて書けたらいいのですが、長ったらしくなりそうなのでとりあえず青山さんを中心に。

 

よっぴーが初めて喋ったのは煙突掃除の男の子でした。音楽朗読劇は81プロデュースオンリーで行われる「朗読アカデミー」や「声の優れた俳優による」などと異なり、役としての衣装がしっかりあるため、白いドレスで男の子の声がすると何だか不思議な気持ちに。無邪気なのが一転、というシーンに胸が痛くなりました。

 

次に彼女が喋ったのは確か8歳のコゼットでした。やっぱり目の前でお芝居をしているのを見ているからこそ、なんだか不思議な気持ちに。文字に起こすとありきたりな感じになってしまいますが、あどけない少女、という感じのお芝居で、悲壮感はそこまで感じないものの、「もう帰らなくていいの?」というセリフなどに庇護欲をそそられました.....(どう頑張っても犯罪臭を隠せなかった)

 

ただここで個人的に予想外だったのはフォンティーヌが一切喋らなかったことです。

脚本上、彼女が喋らなくとも もちろん破綻なく成立していくのですが、せっかくならよっぴーの母としてのお芝居が聞きたかったなあと。

 

初めの引っ越しの際は、まだそんなに成長していないように感じたんですが、修道院に向かったのっていくつでしたっけ?(すっかり忘れてしまった)

恋をするまでのコゼットはそんなに多くは喋っていないですが幼い印象が強かった。

 

そしてマリウスが現れました。めちゃめちゃ失礼なんですけど、キャスト表見たときに駒田さんがマリウスかー、なんてちょっと笑ってたんですよ、なんせエディ・レッドメインが演じていたマリウスが印象に残っていたし、なんとなく貴族然とした青年を演じる駒田さんのイメージが付かず。

でも出てきたときから、ああマリウスだなと思ったし、マリウスの身の上を聞くと地に足の付いた青年だし、ああなんかすごくぴったりだなって。役者さんってすごいですね。(突然語彙力が0になる)

 

この後、ガブローシュとしてよっぴーが話しだしました。

これも単に記憶から抜けてるだけかもしれないんですが、マリウスの隣の家にテナルディエ夫妻が居て、ガブローシュの親がつかまっちゃって、という話もえっ、そうだったの!?となりました。映画にあったっけ.....長編小説をミュージカル、映画、朗読と見比べるとその情報の取捨選択が面白いなと思ったり。

 

よっぴー演じるガブローシュ、ふてぶてしさがすごい。いや多分だれがやってもおそらくふてぶてしいんだろうけど、それにしてもめちゃめちゃふてぶてしかった。

このシーンを見ながら、いや少女のコゼットを見た時も思ったんですが、ああ、みにゃみはここでどんな芝居をしたんだろうな、ということが頭をよぎって、再演にも田中美海さんが出たらいいなあという気持ちになりました。

 

ガブローシュは、いや煙突掃除の少年もそうだったんですが、少年のお芝居をするときのよっぴー、ものすごく表情が豊かなんですよ。そこがとってもすき。

それにガブローシュは革命軍の青年たちに憧れていて口上や「共和制万歳!」と言ったセリフを言うので、そこもめちゃめちゃ好きだった。

なんかこうガブローシュは内に秘めるとかは一切なく、すごく分かりやすく、こうもやもやとかもあまりなく、それが全部声に、というか音に乗っている感じがしてそれがいいなあと。

 

逆にマリウスと結婚するまでのコゼットは淑女足らんと意識している気がして、こう、なんとなく言葉にいろいろな思いが載っている感じがしてそれはそれですきです。

反面、マリウスはガブローシュのように全部ストレートな感じがするんですよね、あんまり迷いとか、内に秘めるという印象じゃない。これは駒田さんの声質もあるのかなあ、どうなんだろう という感じです。要検討。

バルジャンとガブローシュとのやり取りを見て、彼女のお父さんだ!着いていけば彼女の家が分かるのでは?となるマリウス、もちろんそれはその通りなんだけどそれはストーカー.....と思う私なのであった。

 

あとマリウスとコゼット両想いじゃん!ってなった時に(なんか非常に俗っぽい表現になったが)あからさまにピンクの照明が入ったのは、公演後にフォロワーさんと喋ったときにやっぱちょっと愉快だよねってなりました。作品の性質が全然違うので較べるのはあまりよくありませんが、設備上の問題の可能性もあるけど、今回の公演、「グレート・ギャッツビー」より音響もBGMも照明も大味かなと。再演はもう少しアップデートされていたらなあと思います。

黄色っぽいライトでジャン・バルジャンだけを照らして、背景の旗に警視やコゼットの影が映っているのは好きでした。

 

バルジャンが帰ってきたときに慌てるコゼットもすごく良かった。よっぴーのコゼット、やっぱりめちゃめちゃ上品に聞こえるんですよ。あんまり甘口って感じじゃなくて、あくまで上品。すごく慌ててるのは伝わってくるし、でもこう、感情が抑制されている感じがする。なんとなく淑女って全部表に出すわけじゃなくて、ある程度感情を抑えるのを良しとされるじゃないですか。それをすごく感じる。

 

結婚式のシーンはコゼットがただただ幸せそうで、成長したコゼットの無邪気な感じに嬉しくなった。多分このシーンが作中で最も幸せなシーンな気がする。(個人の見解です)

式の翌日、「すぐ帰ってくるわよね?」と聞くシーンも無邪気さがあって概ねバルジャンの視点で進んでいる朗読のため逆に切なかった。

 

マリウスと二人、バルジャンの元にやってきたとき、「そんなことおっしゃらないで!!!」って怒ったコゼットに、ここだけは『青葉の軌跡』の七瀬佳乃を重ねてしまってもうだめだった。感情の流れもシーンの流れもものすごく似てると思うんです、藍ちゃんを引き留めるシーンに。ああ、泣いてるなあ、ってところも見えて余計に泣けてきてしまった。

 

最後にカーテンコールで出てきたとき、わりと2回目くらいまでは遠かったのもあるかもしれないけど、よっぴーじゃなくてコゼットだなあって思ったんですよね。

でも三度目かな、お辞儀する前だったか後だったか、涙をぬぐったり、なんとなく手がふわふわしたまま捌けていくよっぴーを見て、ああ、私が知ってる青山吉能さんだ、ってなってちょっと泣きました。

 

本当は伊東さんとか神尾さんのお芝居についても書きたかったんですが、もう2900文字が目前なので今日はこの辺で。